「ちょ…っ、レオくん!?ひ、人見てる…っ」
肩に頭をもたれされて、かぶさった形。
おれの下で真子が慌てるのがわかったけど、くっついたまま、動かなかった。
「すげーな」
「れっ………」
「おめでと、真子」
「…………」
「おめでと……」
ゆっくりと背中にのぼってきた細い手。
おれの体をギュッと抱きしめ返して、真子は言った。
「……ありがとう、レオくん」
耳元で響いた声を、覚えていたいと思った。
何度も何度も繰り返して思い出して、耳に声が、住みついてしまえばいいと思った。
今日は日差しが、とてもあたたかい。
いつの間にか、マフラーと手袋なしでも大丈夫な日和になってたんだな。
…大丈夫だ。おれたちは、大丈夫。
心の中で繰り返して、真子を抱きしめる力を強くした。



