よく晴れた日だ。
天を仰げば、日差しをまぶしく感じる。
こうやってゆっくり空を見上げるなんて、ものすごく久しぶりなことのような気がした。
「今日、なんだか春みたいだね」
軽い足取りで、真子が言う。
明るい光に照らされた真子の髪は、ツヤツヤと黒く光っている。
「…おー、だな」
答えながら手をつなぐと、真子の横顔がふわりとゆるんだ。
…さっき、カフェで聞いた話。
真子は明日から、家族でばあちゃんちに里帰りするらしい。
真子のばあちゃんちは北海道にあって、大学に行ってしまったらなかなか会えないからって。
まあ、それは仕方ないけど。
ばあちゃんは、そりゃ大事にしないとだけど。
この休みを真子にまるまる当てようとしていたおれにとっては、ちょっとさみしかったりする。
「…レオくん?」



