そんなこと言ったら殴られるの確定だから、絶対口にしないけど。
「…昨日、さぁ」
バイクの後ろで、レオがしゃべった。
風に流されるせいで、前にいるおれには、かろうじて聞こえるレベルだ。
「んー?」
「昨日。夢に、お前が送ってきたホラー女が出てきた」
「ぶはっ!?まじー!?」
あの、白い顔のやつか。
レオの脳みそによっぽど深く刻み込まれていたのかと思うと、顔がニヤけた。
「…すっげー追いかけられたんだけど、おれ」
「ははっ、ウケるな!!」
「ウケねーよ!!アイツ、時速60キロくらいの速さだったぞ絶対!!」
「バイクの法定速度と一緒じゃんよー!!なら追いつかれなかったお前はどんだけ速く走ってたわけー?」
「火事場のバカ力ってやつじゃね?」
「ほー……」
「……なんだよ」
「ならお前、今日の試験も大丈夫じゃんー?」



