何も言わずに、すがるようなおれの手を、受け入れていた。
「……嫌がろーよ、真子」
ポツリとつぶやく。
ものすごく情けない声だ。真子の頭にもたれるように、おでこをのせる。
「…風邪、引くだろ……」
なんかちょっと、目がジワッとした。
慣れることができない勉強。
準備が追いついてないのにやってくる受験。
卒業が近づいていること。
遠くに、離れること。
そういうおれの不安を、真子は多分、全部わかってる。
「……引かないよ」
真子はおれの背中に手を回して、ギュッと優しく、抱きしめてくれた。
真子の声はやっぱり風鈴みたいに澄んでいて、
だからよけいに、目の奥が痛くなった。



