…そっか。そうだった。
レオの言葉を聞いて、改めて思い出した。
レオ、就職じゃないんだ。進学。受験なんだよね。
そうだよ。だから夏休みも、遊びに誘えなかった。
いつものメンバーの中に、レオがいなかったんだ。
「…レオ、ほんとに受験するんだね」
教室の後ろ壁にもたれて、あたしは言った。
レオの手元で、シャーペンがくるりと回されるのが見える。
昔から。1年の時から、レオはペン回しがすごく上手だ。
わたしは知ってる。見てきたから。ずっと、近くにいたから。
ペン回しが上手なことも、1年の時、授業中に寝ぼけて何回か机倒したことも。
入学当初は、もう少しえりあしが長い髪型だったことも。
…でもそんなこと、あの子は知らないでしょ?
「おー、レベルひっくい地元の私大だけどな」
ジンと胸にしみるかすれた声で、レオが答えた。
「……親にも、言ったの?」
「あー……うん」
「……へえ」



