「…おー、希美!」
あたしに気づいたレオは、目元をゆるめて笑った。
びっくりした。まさか、レオがいるなんて思わなかった。
「…なんでまだいるの?」
「お前こそどこ行ってたんだよ。しょっぱなから」
「……べつに、どこでもいいじゃん」
…あれ?おかしいな。2人っきりだからかな。
なんかすごく、緊張する。
金から黒。正反対みたいな色に変わった髪は違和感があるはずなのに、なぜか妙にしっくりきていて。
だからちょっと、戸惑った。
「…あの子と、帰んなかったの?」
…あの子。市ノ瀬真子。
いつもは仲良さそうに、2人で教室を出て行くくせに。
教室に踏み入って、レオの方にゆっくり向かいながら、あたしはたずねる。
「うん、今日は。イワコウから課題の添削、返されたんだよ。今日中に間違ったとこ直せとか、無理難題押し付けやがって…」
「……ふーん…」



