あの子に駆け寄って、真っ赤になるレオを見たあたしは、信じられない気持ちに襲われていた。
…うそ。ちがうよね?
ちがうよね、レオ。だってあんな地味な子。
でも、ちがいますようにっていう願いは、叶わなかった。
あの子のことでみんなからからかわれるようになったレオは、いつだって顔を赤くしていて。
あの子のことに関しては、いつだって余裕がなくて。レオは。
合唱コンクールが終わった頃。
レオとあの子は、彼氏と彼女になっていた。
行事の最中って、気持ちが盛り上がるから。
体育祭マジックとか、よく言うから。もしかしたらそんなヤツかなって、思ってて。信じたくて。
でも2人は、別れなかった。少しずつ、距離を縮めていった。
ちょっとずつ、ぎこちなさをなくしていった。
ゆっくり。ホンモノに、なっていった。
あたしはレオの友達のまま、そんな2人を、近くで見ていたんだ。



