「………」
返事をしないで、黙ったまま空を見上げた。
無駄に青くて、そこに立ち上る雲は、磨き終わったばかりとでもいうくらいに白い。
…夏休みって。
自由で、拘束されなくて、好きな友だちとだけ会って、遊びほうけて、だからすっげー、好きな期間だった。
待ち遠しくてしかたない時だった。
でも真子とこんな風になってしまって、はじめて気づいた。
…夏休みって、会う約束がなきゃ、会えない期間なんだよな。
近くにいるのに。
会える距離にいるのに。
大阪、とか。そんな遠い場所じゃなくたって、おれたちはすれ違ったままだ。
「おいっ、飯田ぁ!高森!!3on3やろーぜ!!」
「……おー。チーム分けどうする?」
かけられた声に、腰を上げる。
前に一歩踏み出したら、キュッと、体育館の摩擦音みたいな音がした。



