真子が、学校に来てた。
進路をやっぱり、地元にしようかって相談しに来てた。
「……っ、」
息が詰まる。それって絶対、おれのせいだ。
なんで真子が、志望校を変えたのを教えてくれなかったのか。
…おれ、本当はちょっと、わかってるんだ。
おれとのことを、どうでもいいなんて思ってるわけじゃない。
おれの気持ちを、考えなかったわけじゃない。
言わなかったんじゃなくて、言えなかったんだ。
おれも受験することに決めて。地元で真子と一緒に大学生になるって、宣言してしまっていたから。
おれを傷つけると思って、きっと真子は、言葉を飲み込んだ。
「……なー、イワコウ」
少し口元をとがらせて、机を見つめながら呼びかける。
「なんだー?」
「……逆におれが、大阪の公立受けよっかなー……っつったら、怒る?」
「笑えない冗談だな」



