職員室内でもトップクラスなくらい、散らかっているイワコウの机上。
与えられた陣地に全て、モノを置きつくしているといったかんじだ。
乱雑に並べられたファイル。飛び出たノート。
色あせたポストイットが、くしゃくしゃに縮れている。
ものすごく苦い気持ちで肩を落とすおれに、イワコウが言った。
「…進路、やっぱり前までのところにしようかって、相談しにきたヤツがいた」
「………」
それを聞いた時、心臓がキリッと締め付けられる思いがした。
キリキリした。ヒリヒリした。
進路のこと相談しにきたヤツって。
…だって、多分。それって。
「О大行けって勧めたのはおれだ。前の、進路相談の時な」
黙ってうつむくおれに、イワコウは続ける。
「周りにどんなヤツがいるかじゃなくて、本当に自分の進みたいとこを選べっつった。それは間違ってないだろ?」
「………」
「間違わないように……市ノ瀬も、悩んでんだよ」



