自分の問いかけと市ノ瀬の返しを頭の中で組み立てると、未だにすごく、落ち着かない気分になる。
なんでだろ。わかんねーけど。
まるで今、実際に会話してるみたいにさ。
セリフがいつまでたっても新鮮なまま、残ってんだよな。
…そう、新鮮だったんだ。
クルリと指先でペンを回しながら、おれは、自分が納得する理由を考えた。
市ノ瀬は、自分のまわりにいないタイプだから。はじめて話したから。
だからこんなにも、印象に残っている。それだけだ。
いつだって。どの授業だって。
どんなタイミングで見ても、市ノ瀬は、マジメに授業に取り組んでいた。
集中力って、どうやったらそんなに続くんだろう。
というかそもそも、15分以上持つものなんだろうか。おれ、10分が限界なんだけど。



