頭を真子の方に向けると、真子も顔を上げていた。
「…………」
…それは、どちらからともなく。
くちびるを、重ねていた。重なって、もう一度重ねて。
それからお互いを確かめるみたいに、なぞる。追う。深くなる。
初めて、触れるだけじゃないキスをした。
表面だけじゃない、新しい真子の温度は、おれの頭を簡単に沸騰させる。
すき間をなくすように、真子の後ろ頭を押さえていた。
「…っ、は」
わずかにくちびるが離れた瞬間、真子がヒュッと息継ぎをする。
夕日に染まったせいじゃなく、真子の顔は真っ赤だった。
可愛くてほおにキスを落とすと、限界まで背すじをピンと伸ばして、真子が言う。
「あの、あの、待って、これ以上は、あの」
「……なんで?」
額をくっつけて、意地悪く言う。
境界線がないほど近距離にいる真子が、困った顔で、視線を泳がしてたじろいでいる。



