「……えっ」
「だってさ。今こうしてられるのって、おれと真子が一緒の高校に入ったからだろ?」
真子の指先に、キュッと力が入る。
それをなだめるように、おれは真子の指を根元からなぞった。
「…すげーよな。真子が第一志望受かってたら、出会えなかったんだもんな!」
照れ隠しに、ニカッと笑ってそう言ったら、真子の瞳がゆれた。
ゆらゆらの中におれが映って、金とオレンジと藍が混ざった色が、真子の瞳をいっぱいにする。
「思った方に行けなくってもさぁ、歩いていったら、あんがいいいこともあったりするんだよ」
そう思うんだよ。思うよ、本当に。
だから。
「だから…そんな気ぃはらなくても、大丈夫じゃね。うまく、言えないけど」
数秒、世界が止まったような時間があった。
真子の頭がトン、とおれの肩にのって。その瞬間、また世界は動き出す。



