「わたしも、すごく。ありがとう」
夕日のオレンジと、夜の藍色が混ざる。
この時間帯に、海沿いを走る列車で、真子と2人でいる。
改めて、奇跡みたいなことだと思った。
奇跡みたいなことが普通になっていくって、なんか本当に、奇跡だなって。
自分でもなんて言っていいのか、わかんねーんだけど。
カタンコトン、とやさしい振動が、尻から伝わって、体の力を抜いていく。
「…考えてたんだけど」
真子の指の細さを確かめながら、おれは言った。
「うん?」
「あー…うん。さっき言ってた、うまくやらなきゃ、カンペキにしなきゃ…ってやつ」
砂浜で、真子がこぼしていた言葉。
おれは、文章力がないから。頭も悪いから、うまくまとまらないけど、でも。
おれが思ったことを、ちゃんと伝えるから。
「おれは、カンペキじゃなくて、よかったって思う」



