きみは金色






帰りの列車がホームに滑り込んできたとき、強い潮の香りがした。


それは海が、まだ帰るなーとか言っているみたいでもあり。


自分の、ずっと残っていたいという気持ちの現れなのかもしれなかった。



1日って、こんなにあっという間なのかと思った。


真子と過ごせる大切な時間が、もうすぐ終わってしまう。



一番後ろの車両を選んだこともあるのだろうか。


乗り込んだ列車の中。おれたち以外の人は、だれもいなかった。



手をつないで、座っていた。


行きしとは違う。包むんじゃなくて、指を組み合わせる握り方。


意識したことはなかったけれど、この握り方は好きだなと思った。



より深く、つながってる感じがするから。


相手の指の幅まで、自分の指の間で感じられるから。



「…今日」

「ん?」

「今日、楽しかった」



尋ねるわけでもなく、かざるわけでもなく。


自分の気持ちがスゥと、言葉として出てきた。