「…すごいなぁ」
しばらくしてから、ポツリ。
小さな声で、真子が呟いた。
しゃがんで、ヒザを抱えて。砂の城を見つめながら、小さなくちびるを動かす。
「レオくんて、すごいな。わたしができないようなこと…簡単にできちゃうんだもん」
「はは、んな大げさな。穴あけたくらいで」
ずいぶんな褒められように、少し笑ってしまう。
「すごいって言うんなら、真子のがすごいだろ」
勉強、トップの成績だったり。
伴奏を頼まれるくらいのピアノの腕だったり。
並の努力だけじゃ手に入らないものを、真子はいっぱい持っているから。
それなのに真子はさみしそうに笑って、
つぶやくような声で、こう言った。
「…わたし、全然すごくないの」
目が伏せられて、まつ毛がスッと下を向く。
そのせいで、おれの好きな、澄んだ瞳が消える。
ザザン、ザザン。
おれたちの間に、打ち寄せる波の音が、一定のリズムで流れる。



