真子っていう透明な絵の具を溶かしたら、今でさえキラキラしている景色は、いったいどれだけまぶしくなるんだろう。
白い頬に、まつげの影が落ちている。
「…多分、人あんまいないと思う。海水浴に使われない海なんだって」
真子に半分もたれた形になって、おれは言った。
「そうなの?夏なのに」
「んー。クラゲが大量発生するかららしいんだけどさ。どうせ泳がないなら、人が少ない方がいいだろ?」
「クラゲ!!」
くっついているせいで見えなかったけど、声だけで、真子の表情が明るくなったのがわかった。
「わたしね、水族館で1番、クラゲが好きだったんだ」
「へー?イルカとかじゃなくて?」
「うん、クラゲ」
「…刺されたら痛いぞ、あれ」
「あはは、うん…でもね」
今、気づいた。
真子のTシャツの袖、カーテンじゃなくて。
「ふわぁ、て泳ぐでしょう?時間がない世界にいるみたいで、好きなの」
…ふわぁ、ってした、きれいなクラゲに似てるんだ。きっと。



