田舎の方面へ向かう電車だからだろうか。
休日でも、車内はわりとすいていた。
焦らなくても座席は点々とあいていて、おれと真子は、横並びで座ることができた。
ガタン、ゴトン。
はやる心臓とは似つかない、おだやかな振動が、おれたちの体を揺らす。
電車に乗ってからも、ずっと手を繋いでいた。
窓の外は、見慣れない景色になっていって。
知らない建物や場所が、記憶されないままどんどん流れていく。
遠くに運ばれていく、実感。
私服姿の、真子。
いろんな珍しさが重なってるからだろうか。なんかちょっと、緊張した。
「まだ、海見えないね」
光を反射する窓に、そっと指先を添えて。
窓の外を見ながら、真子はポツリと、つぶやいた。
「そんなに早く着いたら、旅行っぽくないだろ」
「ふふ、そだね。でも…海、楽しみだな」
きゃしゃで白い真子の体は、今にもスッと、景色の中に溶け込んでいってしまいそうだ。



