「…いいんじゃーん、最近のレオー」
「……は?」
ちょっとふざけた口調だったから、眉間にシワを寄せて、裕也をにらむ。
おどけた風に、上がる両眉。
首をすくめて、上目でおれを見ながら、裕也が言う。
「レオさぁー、なんつーか。いっつもやる気なさそうだったじゃんー?何事に対してもさぁ」
「………」
「笑ってても、楽しいのかよって思うとき、あったし」
意外な裕也のセリフに、つり上がっていた目は、元の位置に戻っていた。
聞こえてくる声のトーンは、いつもより少し落ち着いていて。
「でもレオ、最近いろいろ積極的になったよなー。バスケもしに行ったりしてんだろー?」
「………裕也」
「市ノ瀬さんと、付き合ってからじゃね?」
「………」
…付き合ってから。
そうだな。そうかもしれない。
真子を見ていたら、自然と背すじが伸びてしまうのと同じように。
ちゃんとしたいと思う。胸をはれる自分でいたいって思えるから。



