…ダルマかよ。
アホみたいな体勢の裕也を見ていたら、ムカついていたはずなのに、不覚にも笑ってしまう。
「…で、気になってたんだけどさー」
「あ?」
「そのカバンから大きくはみ出てるブツ、なにー?」
おれのカバンからのぞく茶色い紙袋を指差して、裕也は聞いた。
大きすぎて半分以上飛び出てている紙袋は、たしかに目を引くくらい、その存在を主張していて。
カバンの中に入っているというより、まるでカバンを着せられているみたいだ。
「それ、本屋の袋だよなー?」
「……問題集」
「は?」
「……」
「モンダイシュウ?エロ本じゃなくて?」
「アホか」
おれの予想通り、ハテナがたくさん飛んだ不思議そうな顔を向けてくる裕也。
若干気まずい思いを抱えつつ、おれはしりすぼみな声で答えた。
「…地元の私大、受けよーと思って」



