これから何年経っても、パッて、1番最初に思い出せるヤツ。
非日常で、特別なヤツ。
おれと、真子で。2人で。
…そう、思ったんだよ。
「で、市ノ瀬さんの返事はー?」
向かいで発される裕也の声は、昼下がりにピッタリすぎるくらい、ダルくて眠たい。
ファミレスの薄ピンク色のソファに尻をどっぷり沈めたまま、おれは答えた。
「…日帰りだったら大丈夫と思う、だって……」
「ふーん…」
「…なんだよ」
「レオ、残念だったね」
「……っ、」
「ま、そう気を落とすなヨッ」
両手でほおづえをついて、楽しそうに笑ってきやがる裕也。
語尾、超絶に軽いし。激しくムカつく。
だから遠慮なく、テーブルの下でスネを蹴っておいた。
「〜ってぇ!?…なんだよ、レオらしくねーのー!!童貞かよー」
「ちげーし。だまっとけアホ」
「アホって言う方がアホなんですーっ!!」
「小学生か……あのなぁ、」



