きみは金色


飯田くんはいつでも、堂々としている。


誰かにヘコヘコしているところを、見たことがなかった。


笑顔を使い分けてはいなかった。


裏表がなかった。


みんなが右往左往するような深い溝があったとしても、飯田くんは簡単にチャレンジする。


飛び越えられなくても、例えケガをしても。笑って済ますことができる。



休み時間になると、たくさんの子が飯田くんのところに集まっているのをよく見かけた。


うまく説明できないけど、その理由はわかる気がした。



…わたしには、できないことばっかりだな。


さわがしいクラスの中。1人ポツンとイスにお尻をくっつけたまま、思う。


黒い髪が、サラリと頬に触れた。


単色で、個性がなくて、本当にわたしに似合った色。


優等生って呼ばれるのは、わたしがその称号にしがみつくように行動しているからだ。