ポロリと、くちびるについていたコーンフレークがトレーに落ちる。
O大。頭の中に、おぼろげな日本地図が浮かんだ。
O大って…大阪。え、大阪だよな?
大阪って。すっげ遠いじゃん…!!
「〜あのっ、でもね!!」
脳みそに大打撃を受けているおれに、真子は慌てたように言葉を続けた。
「A大にしようかなって、思ってるんだ。行きたい学部に似たのはあるし、家から通えるし、それに…」
ひとくちだけ食べたドーナツを両手につかんだまま、真子は少し緊張した顔をする。
A大なら、地元の大学だ。少しホッとして、おれは先を促した。
「それに?」
「……A大なら、その……い、飯田くんと、離れ離れに、ならないから」
「…へっ」
「…あ、な、なんかそういうの、重っくるしいよね!ごめんね…っ」
慌てて、早口になる真子。
指先に入った力のせいで、やわらかいドーナツの生地が少し沈んでいる。



