真子が選んだのは、粉砂糖がかかっていて、ふかふかしたヤツ。
なんか、ものすごく真子っぽいドーナツだ。おれが選んだヤツも、真子に「飯田くんっぽいね」って言われたんだけど。
苦さがあるココア生地の硬めドーナツの上に、コーンフレークみたいなザクザクしたのがかかってるヤツ。
…おれっぽいか?よくわかんねー。
「そういや真子って、大学どこ受けんの?」
店内で空いている席を見つけて、やっと腰を落ち着けたとき。
注文したジュースをストローで吸い上げながら、おれは真子にそんな質問をした。
「っ……ケホッ、えっと…」
「お、大丈夫?」
答えようとして器官に入ったのか、むせる真子。
そのせきが治まったときに真子が口にした大学名に、おれは数秒間、静止した。
「うん……い、一応、ね。O大を、目指してたんだけど…」



