購入した髪ゴムは、きれいな袋に入れられて、おれの手に返ってきて。
「…ん」
「ありがとう…!!」
それを手渡すと、真子はまるでヒヨコのヒナでも預かっているみたいに、大切そうに両手を丸める。
笑みがこぼれる真子の横顔に、おれはニヤけそうになる自分のくちびるを巻き込んだ。
…こういうの、いいな。
そう思った。
自分が買ってやったのを、好きな子が喜んでくれる、みたいなの。
喜ばせたい。コイツは自分のもんだって誇示したい。
その両方が満たされるからかな。わかんねーけど、とりあえず。
「…飯田くん?」
「………」
口元を手でおおって、真子から目をそらす。
…真子が学校でつけている場面を想像するだけで、顔がポーカーフェイスに戻らない。
雑貨屋に寄ったあとは、言っていたドーナツ屋に入った。
裕也たちともよく来る店。
おれたちは各自1つずつ、食べたいものを選んでトレーにのせた。



