こぼれんばかりに目を見開いて、真子は頬をほんのりと染める。
口を数回パクパクと動かしてから、真子は自分のカバンのチャックをいじり出した。
「…そ…そっか、うん、じゃあ…買ってみようかな…」
「おれが買う」
サイフを出そうとする真子の手を止めて、断言する。
情けない形にまゆを下げて、真子は小さな声を出した。
「え…じ、自分で…」
「おれが真子にやりたいんだよ」
ちょっと無愛想な声になってしまった。
怒ってるわけじゃないんだけど、なんか。なんか、無性に照れてしまって。
「…おれがあげたいの!!それで文句なし!!」
「………」
「返事!!」
「は、はいっ!!」
真子の返事を聞いて、そのままレジに向かう。
自分で引っ張ってきておきながらなんだけど。
今まで全く入る機会なんてなかった女子の店での会計は、なかなかこっぱずかしいものがあった。



