カバン、ふでばこ、下敷き。
思い出してみれば、真子の持ち物は全部、地味すぎるくらいシンプルだ。
あることを思い立ったおれは、キョトンとしている真子の手を取ると、雑貨屋の前まで引っぱって歩いていた。
「飯田くん、あの…っ」
「ちょっと寄ってこ」
強引に言って、店の前で止まる。
色とりどりのシュシュや髪留めが、菓子のように箱に詰められたり、ボードにかけられたりしている。
おれはそのうちの1つを手に取ると、戸惑っている真子の髪にあててみた。
「これとか、似合うんじゃね?」
選んだのは、小さな花のついたゴムだった。
決して派手じゃない、控えめで可愛らしいかんじが、真子そのものだ。
真子はびっくり顔でおれを見上げて、固まっている。
「…どしたの」
「わ、わたしこんなキレイなゴム、似合わないよ…?」
「え、すっげかわいいと思うけど」
「えっ」
「前から思ってたけどさ、真子。髪結ぶならこういう方が絶対似合う。似合うしかわいい」
「……っ、」



