自分に向けられる、視線。
あどけない、なにも知らない子どもみたいな瞳。
見てはいけないものを見てしまったような気持ちになって、おれは思わず、ごくりと息をのみこんだ。
『なあなあ、レオ。そういや今年のピアノ伴奏、誰~?』
昨日、裕也が寝ぼけた声で聞いてきた質問が、頭の中によみがえる。
…今年の伴奏者は、市ノ瀬だったのか。
目の前で見つけた答えに、おれは深く納得してしまった。
グランドピアノと市ノ瀬が並ぶさまは、初めからセットとして用意された商品のように、似合っていて。
絵になる。
そんな表現が、とてもしっくりきたからだ。



