きみは金色






放課後。

おれは1人、3組のゲタバコの角のところで、市ノ瀬のことを待っていた。


市ノ瀬が今日、掃除当番に当たっていたことは知っていた。


教室を施錠しなければならないから、多分、1番最後に出てくるはずだ。



帰宅するヤツ。部活に行くヤツ。1年から、3年まで。


たくさんの生徒が、群れになってどんどん流れていって。



放課後に突入して十数分もすれば、都会の駅前状態だったゲタ箱周りは、すたれた田舎に移動したみたいに、ガランと静まり返っていた。



ゲタ箱にもたれた位置から、ズルズルと滑って、その場にしゃがみ込む。


そのまま、体操座りになって顔を沈める。


パサついた前髪が、オデコに当たってチクチクする。



数分、経った頃だろうか。



「…い、飯田くん…?」



おれの金色頭に、ずっと待っていた声が降ってきた。