「……ごめん」
「……っ」
「わかんねーけど、市ノ瀬がいいんだ。ごめん」
言い切ってしまうと、希美の手が制服の袖から離れる。
ギロリと睨んだ目はキツかったけど、少しうるんでいた。
「〜バッカじゃないの!?ちょーカッコ悪いっ!!」
息を荒立てて、言い放つ。
希美はくるりとそっぽを向くと、自分の席に戻っていった。
ガタン!!とイスを引く、乱暴な音。
両肩がいかっていて、顔が見えない後ろ姿からも、怒っているのがわかる。
静かなままの教室。
片方だけ、握られてしわくちゃになった袖。
まだ突っ立っているおれに、希美は後ろ背を向けたまま、ポツリと言葉をこぼした。
「…レオ、グルグル悩んでるの、似合わないんだよ」
「へ…」



