「やっぱかしこいねぇ〜、市ノ瀬さんは」
「……あ、あの」
「ね、写させてよ。プリント」
「…えっ」
「いいじゃんー。クラスメートの成績向上に協力してくれてもさぁ。ねえ」
市ノ瀬の顔の前に、催促するように右手を出す希美。
考える前に、おれは席を立っていた。
クラスメートたちの視線が、自分に移ったのを感じる。
「……おい、希美」
想像より、低い声になった。
希美の目も、おれの方を向く。
先日の放課後みたいな、睨むような目だ。
おれを見たまま、希美は言った。
「…なんで、レオが出てくんの」
「なんでって…お前こそ、何してんだよ」
「話しかけてるだけじゃん。なにが悪いの?」
「悪いだろ」
「何がよ!?」
希美の細く整えられた眉毛が、異様な角度でつり上がっている。
つられるようにおれの眉も寄っていて、言葉も少し荒くなった。



