進歩がないのは、あれだ。
おれと市ノ瀬の関係も、一緒なんだけど。
ここ数日間のことを思い返すだけで、深いため息が出てしまいそうになる。
相変わらず、おれと市ノ瀬の仲はぎこちなかった。
べつに、避けられているわけじゃない。
話しかければ答えてくれるし、誘えば、ついて来てくれる。
断らない。嫌だとは言わない。
でもいつだって動くのはおれで、市ノ瀬は受け身だ。
そんな状態のままテスト週間に入ったこともあって、何度かあった一緒に帰る機会も、プツリと途切れてしまった。
『おれと、付き合って』
そう告げた時は、たしかに抱きしめて、たしかに触れていたはずなのに。
今じゃ、この手の中に市ノ瀬がいたことが、ウソみたいに思える。
…なんか。ほんとに付き合ってるのか、ちょっと不安になってきたんですけど。
そんなことを考えて、苦い思いで目を細めた。



