おれが、小学2年の時だ。
原因とかはよくわからないけど、ある日を境に父親は家に帰ってこなくなった。
ーあそこの家は、片親だから。
そんな風に言われないようにって、おれは常に、優秀であることを求められていた。
それに応えられなくなってきて、期待されることもなくなって。
あの人はおれに対して、あきらめたような声しか出さなくなった。
最近じゃもう、まともに会話を交わすこともない。
おれが金髪にしたときも、チラリと横目で見てきただけで、なにも言ってこなかった。
そんな、今のおれが出来上がるまでのどうしようもない話。
イワコウはずっと、おれをマジマジと見つめながら聞いていた。
親身になってくれるなんて意外だったから、少しだけ見直す気持ちが生まれてくる。
おれが話すのを止めると、イワコウは片方だけくちびるを上げて、フッと笑った。



