そんな俺達だけど、チームとしてはひとつの生き物として、形になりつつあった。


「マカロン!」


「あいさー」


コートを、やはり女子だとは到底思えないキレのあるドリブルと共に駆け抜けたリッコは、針の穴に糸を通すような正確さでマカロンにボールを繋げる。


そのマカロンに立ちはだかるは、オルフェきっての点取り屋にしてリバウンダーのリューイ。


「Hey!マカロンちゃん、勝負だ!」


「まけ、ない」


自身よりは低い身長だが、ゴツゴツと岩のような筋肉が着いて、尚且つ素早さを搭載したリューイ相手に、マカロンはじっくりボールを捌き次の一手を考えているよう。


マカロンのこれまでを教育してきたリューイは、おそらくマカロンがパスをするか無理矢理飛んでダンクをぶち込むと読んでいるだろう。


その固そうな足は、どっしりと地面に根を生やしそれを阻止をしている。まるで、樹齢100年の大木のようだ。


「しゃあーっ!」


「!?」


しかし、オルフェのメンバーは知らないのだ。マカロンに、俺が『ずっこいムーブ』を伝授しているのを。