だが、流石に初めて論理と対面した時は、その眉毛のピアスを見て恐怖で失神しかかったことを思い出す。


話してみると、論理が不思議系というか、癒し系というか、とにかくその類いであることはすぐに分かったが。


「マカロン先輩、チャーシューてんこ盛りだねぇ」


「おばちゃん、が、サービスで」


嗚呼……成る程、とその並べられた単語を読み取り頷く佳那汰。


学食のおばちゃんはイケメンが大好きらしく、佳那汰や恋夜も良く色々サービスしてもらっている。


論理程では無いが整った顔立ちの佳那汰と恋夜は、異性関係でも困ったことはない。


恋夜の場合、派手な女子からの支持が厚いし、逆に佳那汰は爽やかで涼しげな容姿から、恋夜がヒットしないところの女子に人気がある。


「いいわねぇイケメンは!学食に巨乳好きのおじさん働かないかしら」


それぞれ何かがてんこ盛りである男子達のトレイを見比べて、律子が皮肉混じりに呟いた。


「そーいえば、この間ハーシーさんがバイク止められて年確されてるの見たよ」


「えー何それ!カナってばいいネタ持ってるじゃない!後でイジるから詳細聞かせてよ」


なんてことのない、平日の昼下がり。


相変わらず、佳那汰には手放すのが惜しいものなんて無いけれど。


でも、それを持った親友達が、それぞれにキラキラと輝き、佳那汰を照らしつけている。


それだけで、これまでの世界の風景が彩度を上げた気がして、佳那汰は少しだけ心地良く、呼吸を楽しむことが出来た。