チュンチュン。と、電線の上で2羽の雀が鳴いている。


美化運動も半分を終え、6回目の今日はいつもより早く登校する羽目になった。


昨日の帰り、もう掃除したくないです、手が荒れて痛いんです、と担任に泣きついたから。


私の指に巻かれた絆創膏に気付いたコンコンは、


「じゃあ僕の代わりに朝の風紀チェックしてくれるとか、どうかな?」


と、おろおろしながら言ってくれた。


登校時間が普段より早まったけど、朝だけ我慢すれば放課後は久しぶりに自由。文句などあるわけがないっ!


あるとすれば、8時に正門前集合だと言ったのに虎鉄とバクがまだ来てないってこと。


オリガクより高台に住んでいるバス通の私と違って、きゅうちゃんが徒歩通なんだから家は近いはずでしょ。


8時過ぎましたけど。


私、腕章も付けて用箋ばさみとボールペンまで持って、準備完了いつでも登校して来い状態なんですけど。


ヤンキーは5分前行動もできないの?


正門脇でひとり佇む私は腕を組み、じっと待つ。


「……まだなの?」


正面玄関前にある大きな円形花壇の中心にそびえ立つ時計塔を見れば、長針が1を差している。


そろそろ、一気に半分以上の生徒が登校してくるはず。そしてゴーレムがちゃんとやってるか見に来そうな気がする。


何それ怖すぎる! もう待ってられない! 何より私ひとりに仕事させるとかありえない!