「ふーん、結局弥那ちゃんと別れちゃったんだ」
「まぁ」

「お前からフったんだろ?その割には、めちゃくちゃ引きずってるみたいだけど」
「うるさい」



俺の正面で笑う男、神楽。
その気持ち悪い緩んだ笑顔がめちゃくちゃ腹立つ。



「てか、声デカすぎ。…弥那あっちにいるんだからやめろよ」
「あ、ごめん。それは普通にごめんだわ」



同じ教室内で昼食中の弥那。
他クラスに食べに行っている奴が大半なのに、弥那はいつも1人でスマホ片手に昼食。



それは俺と付き合ってる時もで、昼の話題が出たことないし、そもそもあの負のオーラの中に話しかける勇気はない。


…普段は、もっと話しかけやすいのに。
というか、ど天然でずっとふわふわ、にこにこなのに、昼休みだけは決まって1人で死んでる。なんでかは、わからん。


中峰(なかみね)弥那。
つい昨日まで付き合っていた、俺の元カノ。
可愛くてふわふわした雰囲気を無下にする地味さ。
漂うオーラと不機嫌そうな顔にギャップが酷すぎるのか、近く人は少ない。
普通に可愛いんだけどさ。



「教室ではだいぶ、静かだよな弥那ちゃん。
部活では元気なんだろ?」
「そう。去年まで同じクラスじゃなかったしさ。教室での弥那を知らなかったんだけど…」