アルデハラ城。

この城の騎士団の一員として働くフラン・リディグ。
彼は21歳という若さで騎士団の副団長を務めていた優秀な青年だった。

「ガリエル、今日はいつもの薬を取りに行かねばならない。すまないが、この後の警備を頼む」

「了解。気をつけて行ってこいよ」

ガリエルとはフランの同期の友人で、今は部下に当たる。
フランは毎月デルンの森に住む魔女の所へ、常備薬を取りに出掛けるのだった。

フランは相棒である馬にまたがると、森の奥に住む魔女の所へと一気に駆け出す。
デルンの森は他の森と比べてさほど危険ではないが、それでも夜になると少なからず魔物は現れる。

なるべく日が暮れる前に、とフランは行きを急いだ。