ケータイ小説 野いちご

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たとえば、愛とか。

e.g7:独立独歩



深夜0時頃になってもなかなか寝付けない。
明日は仕事だっていうのに、このまま寝られなかったらどうしよう。

広海くんからはもうなにも連絡は来ない。
本当に終わったんだと気持ちに一区切りつけた一方で、悶々としている自分がいる。

あれから、斎藤さんは車でそのまま家まで送ってくれたけど、会話はなかった。
時々私から『仕事は大丈夫なんですか』とか聞けば、それに短く『平気』などと答えてくれるだけ。

別れ際もきちんとお礼をして顔を見たけど、斎藤さんの目が私を見ることはなかった。

私、なにかしただろうか。……いや。したんだけど。
プライベートな問題に思い切り巻き込んで、迷惑かけて、病院連れて行ってもらって、仕事まで影響させて。

今日の出来事だけでこんなにも問題だらけじゃ、気の長い人だって嫌になるよ。
だから、斎藤さんは私と関わるのが面倒になって、距離を置きたいのかもしれない。

……でも。

『放っておけなくて、守ってやりたくなる』

その言葉を思い出し、両手を握って胸に押し付ける。
守ってほしいなんて図々しいことはこれ以上言えない。だけど、あんなふうに言われて、やっぱりうれしいと思ってしまった。

考え続けても状況も自分の気持ちも変わることはない。

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