「しっかりして、凌牙!」


乱闘が続いているこの部屋の隅で、あたしは凌牙を守るようにその体を抱きしめた。


「俺は……大丈夫だ……」


「凌牙っ……ごめっ……ごめんなさいっ……」


涙で滲む凌牙に何度も何度も続けた。


こんな事態になったのは、あたしが壱冴の所へ行ったからだ。


あたしの居所を突き止めた凌牙が、壱冴に接触したに違いない。


「ごめっ……っ……ううぅっ……」


本当に、死んじゃうんじゃないかと思った。


凌牙の存在を確かめるように、きつくきつく抱きしめる。


「……怪我してねえか……?」


勝手に姿を消したあたしを咎めもせず、あたしに手を伸ばす凌牙。