人里離れた村───、
そこに誰からも恐れられる“1人”の鬼がいた。
ここは妖と人を繋ぐ場所。
紅の覇者と恐れられる冷徹な鬼妖怪
紅覇
─Kureha─
『つまらんことをした』
そんな鬼に拾われた人間の少女、サヤ。
『小娘、貴様は私が怖くないのか』
『何故なにも言わない?
───あぁ、そういうことか』
少女は声を失っていた。
*
『お前もいつかは私を置いて消えるんだろうな。…人間という生き物は儚いものだ』
それはとても醜く残酷で、不気味な
───紛れもない真実。
『お前はどちらを選ぶ。
人の世か、それとも───』
人間の一生は、鬼の一瞬。
それでもお前が我が名を呼ぶのなら
時には風になって、花になって
何処へだって駆けつけよう。
そして私がお前の声になろう───…
※流血表現、残酷描写あり。