雨宮れんさんのレビュー一覧
主人公カナの憧れていた女子高生涼子が姿を消した。彼女はいったい何を考えていたのだろうか?
カナは、涼子の弟優斗、涼子と仲のよかった大学生小浜とともに涼子の居場所を探し始める。
少しずつ見えてきた涼子の抱え込んでいた悩み、そして涼子を見つけだした時、カナは。
子どもと大人の微妙な境界線上に立つ、少女特有の心の動きが巧みな文体で丁寧に表現されていて安心して読み進めることができました。
最後の一行、まさしくやられた!という感じです。読み終えてみれば、随所にヒントは隠されていたのですけれども。
面白かったです。
本を手放すことのない地味な文学少女栞。
頭が良くてイケメン、通称王子の大輔。
文化祭の委員を一緒にやることになった二人は少しずつ接近していくのだけれど、思いがけない事件が二人の接近をはばむことに。
実は彼のことを嫌っていた親友。
長い間彼のことを好きだったクラスメイト。
そして最後にあかされる一番思いがけない真実。
この事実にやられたー!と、思わず叫びました。
読みながら、胸がきゅんとなるかわいらしいお話でした。
最後は笑顔になること間違いなし!
容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能な執事。
彼が新しく仕えることになったのは、武家屋敷に住むお姫様。
惚れさせれば、こっちのものとまず唇を奪いにかかった陣に対する彼女の返しは思ってもみなかったもので。
調子を崩された執事に、生徒会のメンバーも加わって大騒ぎ。おまけに生徒会のメンバーには前の雇い主兼元彼女もいたりするわけで。
どこかずれた、けれど真摯な彼女の言葉に、時に胸をつかれながら陣は大切な何かに気づいていきます。
さて、恋の行方はどこに向かうのでしょう?
終着点は、賛否両論あるかもしれませんが、陣は一番強い絆を見つけることができたのではないかと思います。
幼なじみの凪海、瑠璃、悠斗。
踏み出せない一歩。変わらない関係は、「最後になるかもしれない夏休み」に変わっていく。
互いを思う気持ちによって、その夏休みは忘れられないものとなる。
タイトルや表紙から重苦しい話しを想定していたのに、いい意味で裏切られました。
田舎ゆえの閉塞感。
罪を犯しても、権力により握り潰される世界。
そんな町で起こった凄惨な事件。
担当記者に犯人たちが語る12の殺人は、クライマックスで全てのパーツがぴたりとはまる。
作者の仕掛けた罠に思う存分はまってください
苦学生千歳の前にあらわれたのは、彼と瓜二つの容姿を持った女の子。
千歳、小梅、綾人という三人に千歳のそっくりさん千早も加わって大変な騒ぎに。
桐谷 ルイ=ダークファンタジー!な印象をがらりと覆されます。
でも、根底に流れているものは、しっかり桐谷ワールドです。
三人それぞれの優しさにじんとしました。
ストーリーは面白いのに、キャラの造詣がどこかで見た感じで少し残念です。
というわけで、★一つマイナスで。
全てを終わりにしたいから。
屋上から身を投げた弥八子。
落ちていく瞬間、窓から外を見ていたクラスメイトと目があったような気がして、そして地面に激突した。
気がついた時、彼女がいたのは教室の中。
そして四人のクラスメイトがそこにいた。
なぜか教室の外に出ることができず、閉じこめられた五人。
三分間を繰り返す時計の針。
つながらない携帯電話。
きっかけは弥八子だったのかもしれない。
けれど、教室に閉じこめられた五人は皆、乗り越えなければならない何かを抱えていた。
一人一人の心情が丁寧に描かれた、どこか懐かしい優しさを持つ作品です。ラノベではなくジュブナイル。その言葉がぴったりとはまります。
秋に出会った「陣ちゃん」と「朋美」。
クリスマスプレゼントに陣ちゃんが朋美にプレゼントしたデジカメ。これでたくさん思い出を残そう。そう言っていたはずなのに。
一番大切なのは彼だけど、でも他の人も気になる。
始まりはほんのささいなきっかけ。
彼に隠れて彼の友人朋也と会うようになった朋美。
彼とは違うどきどきした気持ち。
当然そんなのは長く続くはずもなく、陣ちゃんと朋美の間に亀裂が入っていきます。
やりなおそうとしたはずなのに、どうしてもうまくいかなくて、終わってしまった恋。
きっとこんな想いは、若い頃にしかできないのではないかと思わされる作品です。
純真な少女明日香は、からまれているところを助けてもらったことがきっかけで月と知り合うことになる。
つらい過去を背負った月は、明日香の気持ちをなかなか受け入れられないが、だんだんと心を開いていく。
本文中では明確に書かれてはいませんが、両親そろった家で愛情を一心に受けて育ったであろう明日香。彼女が月に近づくことを、周囲の大人達は心配しながらも、月のためにはいいことなのだと見守り続けます。
なかなか届かない明日香の気持ち。
やっと月の心をつかんだと思ったとたん二人にふりかかる試練。
月が明日香との未来を描けるようになった時。それは彼が他人を思いやることを思い出すことができた時でもありました。
涙なしには読めない作品です。
幼い頃から見えない物が見えていた珠輝。
そんな彼女が、死を決意した時手に入れたのは、本から神を呼び出す力。
最初は反感を持っていたクラスメイトとの恋愛にも、運命は非情な横やりを入れる。
もっと違う出会いでありさえすれば、と。
きっと珠輝も詠人も望んでいたはず。
最後は少し筆が走りすぎた感はありますが、非情に美しい物語でした。
普通の人間の目には見えないモノノケの見える由香。
ある日預けられた生き物は、異なる種族の間に生まれた鬼の子だった。
中学校に通うことのできない由香。鬼の子を育てるうちに、モノノケたちの世界をいろいろと知っていくようになって……。
丁寧な文章で描かれる、どこか懐かしい世界。
読み終えるのが、もったいないと思ってしまいました。
船に乗って冒険の旅を続ける三人。
とある島で知った伝説のお宝を探し始めた時に、新しい出会いが。
主人公たちのキャラクターが生き生きしていて、物語の世界に引き込まれていきます。
謎が謎を呼んで、また新しい冒険へ。
どきどきわくわくはらはら。冒険物に欠かせない要素は、すべてここにあります。
彼らの見つけた宝物、あなたの胸にも届きますか?
山奥で開かれた同窓会。集められたメンバーが一人一人……。
真犯人の動機など解明されていない点が、ミステリとしてはやや弱いと感じました。
その半面、追い詰められて行く主人公たちの心情にはどっぷりとはまってしまい、一気に読んでしまいました。
もう一ひねりあると、もっとはらはら度があがるんじゃないかと思いました。なので★一つマイナスで。
新撰組物はあまり読んだことがなかったのですが、一気に読んでしまいました。
読みやすい文章でありながら、特に真剣を持って向き合ったときの臨場感はすさまじいものがあります。
あの時代を生きた人たちは、こんなにも真摯だったのだな、と読み終えて息をつきました。
ほかにも新撰組をあつかった作品があるということで、ぜひそちらも読んでみたいと思いました。
彼ともなんだかうまくいっていないし、毎日が面白くない二十歳の千夏。
ある朝目が覚めたら、五年前に戻っていた!彼女が五年間の間ずっと引きずっていたこと。それをやり直すチャンスを神様がくれた、はずなのに。
記憶とずれていく過去。
本当に未来を変えることができる?
二十歳の記憶と考え方を持ったまま、五年前と同じように悩んで悩んで、千夏が出した答え。
後悔はするかもしれないけれど、現在をまっすぐに見据えて生きたいと思わせてくれる素敵な作品でした。
十五歳の頃に戻ることができるとしたら。
あなたは過去を変えたいと思いますか?
ソファに横たわったまま、空想の世界へと飛び立つ魔女。
その旅の行き先はどこなのか、皆川にはわからないまま。
作者のしかけた罠に、ここちよくすぽーんとはまりこんでしまいました。
携帯小説にしておくのはもったいないほどの、構成力、文章力、描写力に完敗です。
二度読みしてよりおいしい作品だと思います。
二度読んでもきっと別の罠にはまってしまうはず。
気がついたら、魔法の世界に迷い込んでいたそれぞれが心に傷を持った登場人物たち。
迷い込んだ先は、うららの祖母が作ったもう一つのオズの国でした。
迷い込んだ時に、現実世界での記憶を亡くしてしまった彼らが、この世界に呼ばれたのは偶然ではありません。
名作「オズの魔法使い」をベースにうららと四人の少年たちの冒険が始まります。
最初のうちは反発していた皆が、一つ一つ試練を乗り越えて絆を深めていく様に涙しました。
生きていくっていいことばかりじゃないけれど、それでも
生きていくうちにはいいことだってあるはずです。
とても優しくて、あたたかくて、泣ける物語です。
ハンカチを握りしめてどうぞ。
主を失った城。攻め寄せる軍、守る騎士団。
敵味方なく、すべての登場人物に過去がありドラマがあります。登場人物一人一人に感情移入して読みました。
運命の女神たちが織りなす物語は、複雑にからみあい、時に断ち切られ、そしてあまりにも残酷でつらいものです。
重厚な世界観に反して、時に軽すぎるとさえ思える表現がありますが、ストーリーが進行していくにつれ、その軽さが救いとなっていくほどでした。
長い物語ですが、結末は自分の目で確かめてみてください。
生まれつき他人と少し外見の違う紅葉。
母の死の原因が、自分だと思っている蒼太。
ひょんなことから出会った二人は、思いがけない速度でひかれあっていきます。
家族には確かに愛されていたけれど、孤独を抱えた二つの魂の終着駅。
そして、二人で歩み始めた未来。
静かに、そして確かに二人が惹かれあっていく様を描く美しい日本語にひたってしまいました。
二人の間には、たくさんの障害となりえる問題が存在しています。
そんなものも一息にとびこえて、二人を受け入れる周囲の人たちにも心があたたかくなりました。
昔話に題材をとった一作。
浦島太郎が渋谷に現れて、どうなるのかと思っていたら、とんでもないオチが。
とても面白かったです。