川瀬みちさんのレビュー一覧
暖かいご飯には、人の心を豊かにする効能があるのかな。
それとも一緒に食べる人がくれるのかな。
どちらにせよ、人が生きるために必要なのは“食事”だけれども、豊かに生きるために必要なのは一緒にゴハンを食べてくれる“誰か”なのかもしれない。
瑞菜のお母さんに愛情がなかったとは思いません。他の誰かに粗方を委ねていたとはいえ、瑞菜は立派に成長していたわけですし。ただし、愛情のかけ方は間違っていたのかもしれません。人は、甘える人がいて初めて“甘え方”を覚えていくのかもしれないな、と感じました。
お料理は不思議です。少しの手間で美味しくなる。見た目通りの味もあれば、見た目に想像してなかった美味しい物もあります。それは人も、人間関係も同じなのかもしれません。
優しくて、ほっこりできるお話です。どうぞご賞味あれ。
手紙を出してみませんか。
どうやら辿り着いたのは郵便局のようで、けれどなんだか様子がおかしい。そこは、あの世とこの世の境界線。美味しいお茶(コーヒー含む)に誘われて、店主と話せば伝えたい気持ちが見えてくる。
待っていてくれる人がいる。気持ちを繋いでくれる人がいる。
それはとても幸せなことだと思います。けれど、なぜだか人と言うのは“待っていてくれる”ことに、気づかない。どうせ自分なんか、を口癖にしてしまえば本当にそのようになってしまうような気がします。
待っていてくれる人がいると知れば、人は努力を始められる気がします。どこかで見てくれている誰かに恥じぬよう。
生きることはとても面倒くさいことです。人と関わり合い続ける問うことですから。けれど、その面倒なことこそ愛しくて尊い。
ヨミが武俊の去ったあともヨミタケ郵便局と言い続けたのは、多分、彼もまた生きていたかったからかなと思います。
タイトルに惹かれて読ませて頂きました。そして読んでよかった、と思わせてくれたお話でした。
人と比べてしまうタイミングは色々とあると思うんです。
例えば学生時代。恋愛だけじゃなくて、勉強とか部活とか。社会人になってきたら、同じく恋愛とか、仕事とか。
それが女子の場合、現実味を伴ってくるのはアラサーです。結婚、子供、仕事のキャリア、色々なものを現実的に捉えると焦り出すものです。恋愛=結婚に結び付くか、とか。
この歳でする恋愛はつまり、そういうことで。相手の脈が有るのか無いのかわからないのに踏み出す勇気は中々でません。
小さなポイントを重ねて引き換えたのは大きな愛。それは、その人への向き合い方がシフトしたからかな、と。見てこなかった色んなものは、見方によって違う色を見せることがあって、それに気づけば向き合い方が変わります。
だからきっと紗里亜さんと伊月くんが恋に落ちたのも必然だと思います。
初めの数ページを読むと、えぇ?って笑ってしまうでしょう。だって、現れた女の子(ヒロイン)は自分のことを雀だと言うのですから。
物語は楽しく、優しく、徐々に確信に触れていきます。それはもう、作者様の術中にうまくはめられて気づけば物語から目が離せなくなるほどに。
このお話のテーマはきっと初めから一貫して出逢いと別れ、そして幸せ。すごく分かりやすい、誰もが感じ、経験するものです。
出逢いと別れを繰り返すなかで、人が幸せを感じるのは些細なことです。誰かに優しくしてもらっただとか、ご飯が美味しいだとか。好きな人が傍に居る、だとか。
幸せにしたい!と奮闘するスズメちゃんは健気です。貴方が幸せなら、私も幸せ。けれど忘れてはいけません。君が幸せでないと、僕も幸せになれないってこと。それなら、ふたりとも幸せにならなくちゃね。
最後は誰もが納得するエンディング。この先のふたりに、沢山の幸せが降りますように。
と、言っても主人公は猫。好奇心旺盛な、ママからたっぷりと愛情を注がれた、黒猫。
物語は、野良猫暮らしから飼い猫になるまでの子猫の冒険、と言っても良いかもしれません。
けれどその冒険物語には、人間の様々な身勝手さが反映されています。
人間も猫も、他の動物も、広く見て植物も。
ただ、生きているだけです。けれど、ルールを設けたり、自分勝手に生き物を飼ったり捨てたりすることの多くは人がしていることです。
小さな黒猫にも大きく揺れる感情はある。言葉を話さないからと言って、傷つく心を持っていないわけではないのです。
嬉しい気持ちも、悲しい気持ちも、同じ心で感じます。
ミネちゃんというお友だちができても、ママやお姉ちゃんにはもう会えない。だからモカちゃんは、きっとお月さまに向かって今日も、にゃおん、と鳴いているのでしょう。
その鳴き声に、色んな想いを乗せて。
動物好きな人にも呼んで欲しい作品です。
陰影のある奥行き深いお話だな、というのが第一印象でした。水墨画のように感じるのは、歴史ファンタジーだからかもしれません。
読み進めていくと浮き彫りになる因縁、対して和ませるシーンの調和が読み手を物語に引き込んでくれます。
章親の持つ劣等感は、ある意味で親近感がわくというか、現代にも多分、共通する気持ちはあるはず。自分ではわからない自分の能力は人から見れば羨むものかもしれない。道仙にも本当はそういうところがあったのかもしれない。何が両者を二分したか。自分の身の丈を知り、それでも人を恨まず、他者には感謝を。自分の力を過信し、燻るのは人のせいだと恨み、他者を蔑む。出自の違いと言えばそれのせいかもしれないけれど、人に向けた心は自分に返ってくると私は思います。惟道という存在は、このお話の中でそれを具現化しているようにも感じました。
人間臭さの滲む歴史ファンタジー、楽しく読ませて頂きました。
自分に自信があるか?と問われたら、何%の人がyesと答えることができるだろう?誰にだって、良いところと悪いところが存在する。そして、その“悪いところ”は他の誰かから見たら“良いところ”なのかもしれない。
隣の芝生は青く見える。だってあっちは日が当たる。こっちは建物の影で日も当たらない、なんて。きっと環境のせいにする人も多いだろう。けれど見方を変えてみれば、違う発見があるかもしれない。日陰だからこそ、人は涼みに来るかもしれない。
芝生は場所を選べないけれど、人は動くことができる。きっかけを元に、行動することができる。自分が変われば、人も変わる。居場所は、自分で作ることができるのだ。とても面倒くさくて、大変で、勇気がいるかもしれないけれど、曲げられない、負けられない何かを見つけたら。逃げずに立ち向かって、足掻いてみよう。
大丈夫、不要な人などいないのだから。大丈夫、きっと上手くいくはずだから。
大好きだからワガママを言ってしまう。
大好きだからそのワガママを受け入れてしまう。
どこかで誰もが経験していることかもしれないけれど、人と“対等”に付き合うなら、一方的に甘えてしまうのはNG。産まれてきたときからずっと一緒にいるのなら、なおさらかもしれません。
バスケ部の先輩、好きだなぁ。ハッキリしすぎてて怖いけど(笑)
紅葉のことが大好きすぎる胡桃は、今はとっても狭い世界のなかにいるかもしれないけれど、この先にきっと広い世界が待っている。
体が弱いから、を良いわけにしてお互いにぶつかり合いきれなかったのは幼さも手伝っていたかな。大人になったら、とっても素敵な姉妹になれるよ。ふたりが目にしている桜は、きっと同じように綺麗だから。
18年生きただけでそれを決めてしまうのはあまりにも無謀。だけど、そんなものは結局、言い訳に過ぎないのかもしれない。
この先にもっといい人が。前に進みなさい。
雪緒はそう言って大きな愛で包むけれど、渚は同じだけの愛でもって、その恋を貫いた。
死を覚悟して、受け入れること。
それは一辺から見るととても悲観的に映る。実際、最初に渚を突き放した雪ちゃんにはそういう面も感じたけれど。二人で手を取り、周りの人達とも不器用ながらもがいて足掻いている姿には“その時”まで精一杯生きる覚悟を感じました。
人はあっけなく死んでしまいます。健康だと思っていた人がいつまでも健康であるとは限りません。でも、その事に、気付いていても気づかないふりをしてしまう。期限を突きつけられてようやく思い出すのです。本人も、周りの人も。大それたことをしなくても、その命を大切に生きてみて欲しい。
命の煌めきを深く感じたお話でした。
夢は見るもの?何を差し置いても、それは必要?
問いかけるものの多い作品だな、というのが印象的でした。
主人公の夢からスタートした物語はその『夢』が、各所キーワードになり進んでいきます。
出会いも、共に過ごした時間も、別れも、そして、再会も。
諦めきれずにいたのは、自分の中の大切なものだから。夢も、恋も。心の中にしか感じることはできません。トメさんとお話ししているのは、トメさんを介して、心を見つめ直している時間なのだと思います。
人生は一筋縄ではいかない。思いもよらないことに遭遇したとき、人は、何かから試されているのかもしれません。それでも捨てきれないものがあるならば、とことん付き合ってみて欲しいと思う。だって、自分のことなんだから。
夢は見る為のものじゃなくて叶える為のもの、ですから。
タイトルも、素敵です。きっとこれからは何かに試されたって『わらって』過ごしていけるはず。
それぞれに色々な事情が有るのは当たり前。
100人居ればその分だけの人生があるのだから。
けれど、その人生の中で仲間と呼べる人を見つけたのなら、どうかとことん付き合ってみて欲しい。
その結果、ずっと一緒にいられるのか、無理なのか。簡単に諦めずに、見極めて欲しい。
そんなことを想った作品でした。
大切だからこそ、の、捉え方が登場人物それぞれの個性で描かれていてとてもキャラの表情が豊かだなぁと感じました。
事件の顛末、次の話へのバトン、まとめ方がドラマのようでワクワクさせてくれます。
ストーリーと現実との曖昧さも魅力の内だと思います。実際にいるバンドや楽曲には、あ!と思う人も多いはず。作者様が好きだと言うのが分かるので、よりお楽しみの要素だと感じました。
ピッキング・カルテットもといベイビー・スターダストが4人の心の居場所なんだと最後は思わせてくれて、心が暖かくなりました。
子供の頃は、いろんな夢を持っていたきがします。けれど、現実を知ったとき、夢を現実にできるのはそれを諦めなかった人だけです。これは、絶対に。
職業としての夢を叶えた紗結ちゃんは、恋の夢を諦めた。だから恋を叶えることが出来なかった。いってしまえば、それだけのこと。けれど人間というものはもう一度、立ち上がることが出きる。それが、恋であっても、きっかけがあれば。そのきっかけを、人はもしかしたら運命と呼ぶのかもしれない。
智くんは、カッコいいヒーローではないのかもしれないけれど、誠実で臆病な、等身大の男の子。紗結ちゃんも、真面目で誠実で臆病な、等身大の女の子です。ある程度の年月を重ねれば、誰にだって過去はあるのです。けれど同じように、これからの年月を重ねていく、未来もある。二人は、手を取り合い過去を乗り越えて、未来へと歩みを進めたのかなと思います。二人の未来に花束を。
素敵なお話でした。
占い好きな人って、たくさんいると思います。それと同じように、苦手な人もたくさんいると思います。
占いに頼るタイミングって、悩んでいたり、落ち込んでいたり、背中を押してほしいときだったり。そういうときなのかな、と思います。けれど、努力をしない人が流れている運命に文句を言うのは筋違い。物語のはじめに占ってあげた女の人への対応が、物語っています。けれどそういうのは自分自身では見えないときもある。まさに、美菜ちゃんもそうなのです。けれど、彼女の周りには素敵な人がたくさんいます。
例え運命の人がそこにいたって、気づかなければ、意地をはっていては、見つけられません。それを優しく諭して、その言葉に、素直に耳を傾けられたら。違う世界が見れるのかもしれません。
リズム感のあるお話の中、こんなことを伝えたいのかな、という言葉が散りばめられている。素敵なお話でした。