丹羽くんの腕のなかは、心臓が壊れそうなくらい、どきどきして。
身長がそれほど変わらないせいか、髪に丹羽くんの息がかかる。





「バカで、優しくて、単純な。
そんな戸塚のことが、好きだ。」




…声でわかる。

顔は見えないけれど。
たぶん、優しくて、嬉しそうな。

最初に見せてくれた、笑顔の丹羽くんが。





「…私もあまのじゃくな、丹羽くんが好き。」



私の言葉に少しだけ体を離した丹羽くんは。

やっぱり想像したとおりの笑顔で、こう言った。



「バーカ。」



うん、あまのじゃくな丹羽くんからの、バカの意味はきっと。

愛おしいとおんなじ意味なんだと思う。


end