今年で、あれから十回目の……春が来た。 「ココちゃん、“鶴”ってどーやって折るの?」 1人の女の子に呼び止められ、私は折り紙を受け取った。 「んー?いくよー……、ここをこーやって………」 『完成!』と見せると、 女の子……絢(アヤ)ちゃんは、 嬉しそうに笑った。 ―――泣くことの多い、この病院で。 私は、みんなに笑顔を届ける。 『どんなに辛いことがあっても、笑えばいいことがある』 って、昔誰かが言ってた気がする。