「小塚森と…何話してたんだ?」
「えっ」
そういえば。
私と小塚森様が離れたテーブルで話してた時、棗様がすごく機嫌を悪くしていたようで…。
な、何か怒ってるのかな?
「いえ…特に大したことは何も…」
「…ふーん」
……顔が晴れませんね。
ど、どうしよう。
私どうしたらいいんだろう。
ほんとに大したことは話してないし、でもなんか隠してるように思われたら…。
そんなことを悶々と悩みながらオロオロと目を泳がせていると、棗様のふぅという小さな溜息が聞こえた。
「大したことじゃないならいい」
よ、良かったぁ。
どうやら信じてくれたようです。
「でも」
すると棗様は突然私の腕を掴んでグイと引き寄せた。
私はその不意打ちにわっと声を上げてバランスを崩す。
「あんまりベタベタ触られるな」
……!?
ビックリして棗様を見上げると、棗様はじっと私を見下ろしていた。
思わずドキリとする。
いやもう既にドキドキです。
「あ…う、…」
「……すまん。無理強いするつもりはない」
「…い、いえっそんな、全然…」
「……なんか気に食わねえんだよ。お前は俺の専属メイドなのに……って、意味分かんねえな」
頭を抱えるようにしてブツブツと呟く棗様はひどく辛そうに見えた。
な、なんで?
というか私はいつまでこの棗様に乗っかるような体勢をとっていればいいんでしょう…。