イケメン王子の花メイド





「…花。一つ命令がある」


「ズッ……はい?」


「泣くのは俺の前だけにしろ」




スッと指で零れた涙を拭って下さる棗様。


うぅ…そんなこと言われたら嬉し過ぎてまた泣きそうですよぉ…。



しかし私はなんとか第二弾涙腺破壊攻撃を防いで我慢してみせた。




「わ、分かりました…っ」


「絶対」


「は、はいっ」




どうしよう。

なんでこんなに嬉しいのかな。


さっきまであんなに悲しかったのに、なんでこんなに幸せになれてるのかな。


私、棗様がいないと駄目駄目なんだろうな。




「すみません…せっかくのお茶会を台無しにしてしまって…」


「別に。していない」


「で、ですが…」


「そもそも楽しむつもりは更々ない」




……自分に素直なお方だ。