場違い。 住む世界が違う。 身分の差。 それをひどくリアルに感じてしまった。 こんなところに、私がいていいのだろうか。 お菓子しか作れないような私が、棗様の専属メイドを務めてもいいのだろうか。 棗様と綾小路様を見て、勝手に不安になっていいはずがない。 ……のに。 「花」 暗く沈んだ心にぽっと明かりを灯してくれるようなその声に、私は顔を上げた。 心配そうに私を見つめるその棗様のお顔に、私の胸はきゅうと締め付けられるのであります。