「滝沢くんの専属だったのね」
「…は、はい…」
「以前もケーキを持っていたけれど、まさかこのケーキたちも全てあなたが?」
「お、恐れ入ります…」
「…ふーん」
この鋭く突き刺さる視線はなんだろう。
これが苦手なのかもしれない。
もしかしたら私も遠山副会長に嫌われているのかもしれないと思い出しては止まらなくなってしまった。
「…いくらお菓子が作れても身分の差は縮まりませんのよっ!」
フンと鼻を鳴らして身を翻した遠山副会長は、スタスタと馨様達のいるところへ向かって行った。
…今のは、馬鹿にされたのだろうか?
まあ遠山副会長の言うとおり、私はただの庶民であることに間違いはない。
いくら社長に拾われて、棗様の専属メイドになったとて、その身分は変わることはないのだ。
そんなことは、十分分かっております。
ふと、棗様の方を見ると、まだ綾小路様と親しげに話していた。
この、私の心に重くのしかかるのは、一体なんだろう。

