何も考えていなかったのは言うまでもない。


所詮私なんて棗様の役にも立てないのである。




「…う、埋め合わせって…デートとかですか?」


「「え」」




……間違えた。

いや完全に間違えた。


これ絶対デートとか言う空気じゃなかったのに、私は、なんと、罪深い。



でも庶民の精一杯の脳ではそれが限界だったのです!

今度埋め合わせにデートでも。なんて漫画でもよくある場面でしょう!?


お金持ちの方々がその〝埋め合わせ〟というのに、どれほどの手間とどれほどのお金をつぎ込むのかなんて到底考えつきませんっ。


そして威張れませんっ。




「デート……か」


「……いや、」


「いいんじゃない?デート!会長と副会長がデートなんて学校中の噂の的だよっ」


「俺は絶対に嫌だ」


「はは、まあそう言うと思った。棗はそもそも副会長好きじゃないもんね」




その馨様の発言に私はぎょっと目を見開く。